今なら伝えられるのに。















             
M y  m e m o r y  i s  y o u  h a v e . . .
             















いいかけた言葉がある。それはいつも、私の胸の中に留まっている。
今にも溢れ出しそうだから、本当は伝えたいのよ。だけど、あなたの前だとどうしてもいえなくて。
そうしているうちに時間は過ぎて、あなたは私の許から去っていく。
もう少しだけ、ここにいて。それさえも素直にいえない私だから、あなたの香りだけが残って仕方ない。
最も、立場的にそれをいえないなんて白々しい言い訳を、自分だけの秘密の合理化にして。

抱きしめてほしいの。

そういえば ― 昔はよく抱っこをせがんだと、おじさまはいっていた。懐かしそうに私を見ながら。
いつの間に私は大人になって、自分が一番してほしいこともいえなくなったろう。あなたまでにも。
あなたが困ってしまうかもしれない、拒まれるかもしれない・・・そう考えるようになったから?
理由は確かにあるのに、それがなんなのかわからないし、わかりたいとも思わないのよ。
結局は、私は昔のほうが素直だったんだから。
あなたは私に何度も好きといってくれるのに、私はそれがいえない。伝えたいのに。

あなたの笑った顔が好き。

くしゃったように笑ってみせる、あなたが好き。それも、私の前でしか見せないような特別なもの。
それを見ると、あなたにとって私は少しでも特別なんだなって、感じることができるから。
でも、私は ― 相変わらず上手く話せなくて、あなたがふいに見せる表情に鼓動が早くなって。
あなたの特別になりたいの。だから、あなたも私の特別であってほしいと願ってしまうのよ。

もう少しだけ、ここにいて。

それを聞いたら、あなたは必ず笑ってみせる。だけどそのあと必ず、私の傍にいてくれる。
優しい人だから。でも、私のこのささやかな独占欲は、その優しさにつけこんでいるわけではなくて。
好きだから。
結局、どんなに遠回りしても、私が伝えたい言葉は1つしかなくて。そのたった1つがいえなくて。
いいかけて、無理やり胸の奥に閉まった。いうときじゃなくて、いったあとが怖いのよ。
あなたの応えはわかってる。でも、いざというとなると、恥ずかしくて。
あなたが一番好きなのに、あなたに一番伝えられない。この感情にしか、こんなもどかしさはついてこない。

あなたのことが好きなの。























今宵もまた、夢見る。幸せに触れる前に終わった、ほんの一握りの刹那。
幸せになるための準備はたくさん、時間をかけてきてしていたのに。それを感じていたのはほんの一瞬。
あなたに触れられる時間はあったのに、触れたのはほんの一瞬。
それなのに、あなたは私を心の奥でずっと動かしている。あなたはどこにもいないのに。
それは、もう目には映らぬ者となったあなたができる最後の力。それをあなたは、私に託した。



「私はやらなくちゃいけないのよ。死んでいった者たちのために。」



私が伝えられなかった言葉、夢の中のあなたはきっと聞いているから。
あなたが最後に私に託したものだけは、やり遂げたいのよ。
今度こそ、あなたと幸せになるために。どこかであなたに会えるように。