すべてが、優しさに包まれているからこそ



深い眠りに落ちるころ。















             
G o o d  n i g h t  u n t i l  t h e n
             















また、だ。
夜、一人で、こうして息が整わないまま起きるのは。
そのときはいつも夢を見ている。それも、ずっと暗闇の中で魘されている夢。
夢が、夢で魘されるなんて、どうにかしていると、いつもなら笑ってあなたにいえるはずなのに。
どうしてだろう。今は、それを口にすることさえ怖くてできない。
これから起こる悪夢を、まるで警告しているかのように。



「どうかした?」
「なんでもないの。ただ・・・。」
「ただ?」



あなたは、私の次の言葉をゆっくり待つ。私の息が、ちゃんと整え終わるまで。
そうしたあなたの配慮に、いつだって救われるのだ。過去も、今も。
あなたを目の前にしたらどんなときも、結局は口にできてしまう。
でも ― 今は、少しだけ違う。



「・・・やっぱり、なんでもないの。」



だから寝ましょ、と無理やり作った最大の微笑を携えていう。
そして私は、白々しくあなたの傍で眠ろうとする。けれど、眠れないことくらいわかっている。
無理に目を瞑って、どうか早く眠りにつけるように願うしかない。
そんな私を、あなたは優しく抱きしめて、いつものようにまるで呪いをかけるかのように問いかける。



「・・・なにがあった?」



耳元で囁くように、この暗い夜の沈黙に合わせるように問う。
いつも自分の意志よりも、私の意志を尊重してくれるあなたが、気遣いながら。
私は黙って、でも今口にできる最大限のことを告げる。



「夢が、夢に魘されてたの。それだけ。」



なんだかおかしな話でしょ、と続けた私に、あなたは微笑み返す。
そしてそれ以上はなにも聞かずに、私をただ抱きしめるのだ。



「朝になったら、忘れるよ。」



おやすみ、と続けて、あなたは瞼を優しく閉じた。
こんなときまで、あなたは優しさを携えている。基本的に、あなたはあらゆるものに優しい。
だから、こんな夜まで ― あなたの一言で、優しく感じる。



「・・・ありがとう。おやすみなさい。」



与えられたその距離よりも、もっと近く。
あなたの傍にいられる喜びを抱きしめて、眠りに落ちた。