こんな汚れた私を見ても、あなたはきっと微笑むのでしょう?



愛されていた記憶。















             
M o n o l o g u e  i s  a l w a y s  m a k i n g  w i s h
             















空も見えないこの場所は、ある意味でこんな汚れきった私を映し出さなくていいのかもしれない。
もう1年以上、こうして過去の鎖に縛られながらダルマスカのためと、まるで気休めのように呟いてきた。
ダルマスカのためだけでなく ― 死んでいった者たちのためにも。
今、自分にはそうすることしかできない。だから、些細でもいい。ダルマスカ復活の力がほしい。
あなたと過ごした時間も、これまでなんの不自由もなく暮らしてきた時間も、すべては過去の時間なのだ。



「おめでとう。」



ふ、としたときに脳裡に過ぎるのは、あなたに愛されていた時間だ。
この手でいくら消そうとしても、消すことのできない記憶。過去は、人を縛り付けるだけなのに。
それでも、この場所だけが唯一のよりどころだった。他になにもなかった。



「・・・ありがとう。」



はにかむ私を見て、あなたもまた、照れくさそうに微笑んだ。
誕生日パーティが終わったあとの許された少しの時間、あなたは私にそういってくれた。
まだ、正式に婚約もしていないころだ。それでもあなたは、時間の許す限り私の傍にいてくれた。



「来月には、正式な婚約発表をするそうだ。今年中には結婚式も行うらしい。」
「そう・・・。わたしの17歳はとても幸せなのね。」



どんなに高価なプレゼントよりも、こうしてあなたと過ごす時間がなによりも大事に思えた。
そしてそんな時間が、こうして少しずつ長くなっていく幸せが、なによりも愛しかった。



「アーシェ。」



まるで壊れやすいものを触れるように呼ばれて、あなたを見る。
こうして改めて呼ばれてあなたを見ると、なんだか照れ笑いをしてしまいそう。
それでも、優しく重ねられた手を精一杯に、少しだけぎゅっと握ると、あなたも微笑んで握り返してくれた。



「幸せに・・・。」



そう告げられた口元は、未来への誓いと希望を託していた。
同じ色に光る指輪は、きっともうすぐで一生の輝きを伴って私の薬指に嵌められるだろう。
どんなに暗いときも、光だけは失わないように。

左手の薬指を、そっと上に翳す。
その隣の中指には、あなたの形見の指輪も嵌めてある。
あなたとの記憶に触れるとき、こうしてまた、指輪は光ってみせる。
一人ではない、と。