それは指の間を流れる砂のように、愛しい時間
ただ、同じ想いを抱えながら。
S a m e t i m e , s a m e h e a r t
「同盟の象徴・・・か。」
難しい顔をしながら、夜のダルマスカの街を窓越しに眺めるあなたが、そっという。
読んでいた本からそっと目を反らし、あなたの後姿を追いかける。
窓に映ったあなたの顔はいつもと同じ、落ち着きを兼ねていたけれど、不意に口からため息を漏らされた。
「・・・王家の人々が?」
「あぁ。あえて大きな声では口にしたりしないが、それらしい受け答えが見受けられた。」
「・・・父や・・・私は、あなたをそんな風にして結婚させたつもりは、一つだってないわ。これは、私の意志よ。」
この想いは、いつだって変わらない。もともと、人になにかいわれてただ行動するのを嫌う性分だ。
まして結婚という、大きくいえば自分の一生を変えてしまう出来事に関してはなおさらだ。
国の一生と、自分の一生。簡単に、他人の手で決められたくなどなかった。
「・・・君には、いつも驚かされてばかりだな。」
「本当のことをいったまでよ。それともあなたは、結婚に自分の意志はなかったの?」
「そんなふうに思える?」
「・・・そんなふうに思われては、困るわね。」
ふふふ、と自然と笑みが零れる。
今目の前で微笑んでいるあなたが、こんなにも愛しい。こんな他愛のない会話まで愛しくて仕方ない。
この想いは、あなたにもちゃんと伝わっているだろうか。
「今日は珍しく弱気なのね。」
「王家の義務さ。でも、さすがに役割を演じるのは疲れるな。」
「・・・政略結婚だなんて、筋違いにもほどがあるわ。」
抱きしめられて、優しく唇を塞がれた。
そうしたときに見せるあなたは、王家の血を引き継ぐ者ではなく、人々と同じのようだ。
そして私も。あなたの前だと、常日頃から身につけている礼儀も嗜みも、すぐに崩れてしまう。
結局、あなたの前だとありのままの自分になってしまう。
そんなときも必要なのかな、と。
抱きしめられた優しい腕の中でぼんやり思った。