この薬指は、どんな高価なものでも価値のあるものでも、渡せないから





               同じ幸せを、分かち合えることに。















             
I t' s  a s  y o u  a s  i m p o r t a n t  t h i n g
             















               薬指の指輪が、とても重くて、そしてくすぐったかった。

               あなたからもらったこの指輪を嵌めて、あるときそっと、一人で空に手を翳してみた。

               指の間から零れる青空が、いつも以上に眩しかったのを覚えている。





               「これは、あなたとの初めてのお揃いのものね。」





               夜。久しぶりに帰って来たあなたに、私はそういった。

               さすがに疲れているのか、あなたはソファーの上で目を瞑っている。

               だけどそれでも私のほうを向いて、そうだな、と応えた。



               あなたの手の上に、そっと自分の手を重ねてみる。

               あなたは微笑んで、私の肩を抱き寄せて髪を撫でた。





               「これからもっと増えていくさ。」

               「・・・でも、この指輪はあなたにとってはとても重たいものではない?」

               「重くないといったら、嘘になる。だけど俺は後悔していない。寧ろ、誇りに思うよ。」

               「・・・よかった。心配していたの。」





               この指輪には、私とあなたの未来どころか、ダルマスカとナブディスの2つの帝国の幸福な未来が背負われている。

               軽はずみにそれを承諾できるものではないし、そこには大きな責任が付きまとってくる。

               結婚しない道だって、決して間違ってはいないはずだ。だけどあなたは、その道を選ばずにここに来てくれた。

               私と帝国をもっと幸せにするために、ここに来てくれた。





               「ありがとう、なんて、私の柄じゃないかしら?」

               「ただ君と帝国を幸せにするために、決意したんだ。感謝したのは、俺のほうだ。」

               「・・・どうして?」

               「アーシェは、俺と帝国に幸せになる機会をくれた。つまり、2人とも同じ幸せを分かち合いに来たんだ。」





               なんて、それこそ柄じゃないな、というあなたに、私は言葉にならないくらいの想いでいっぱいになった。

               この想いは、言葉で伝えることもできなくて、抱きしめて、キスしても全てを伝えることなんてできない。

               そんな一抹のもどかしさを、あなたも感じてくれているだろうか。

               常に私より一枚上手のあなたは、きっと余裕な顔をして応えるのだろう。アーシェ以上に感じているよ、と。







               ダルマスカの夜は深い。この時間は、あなたと私だけのもの。

               あなたの髪のシャンプーの匂いがするくらい、あなたとの距離は近い。

               あなたの手が私の頭にまわされたら、私は自然に目を閉じる。頭じゃなくて、もう体が覚えている。

               甘いキスが、私の全てを支配する。だけどそれは、決して苦しいものじゃない。



               部屋の小さな灯とダルマスカの星だけが、あなたと私を照らしている。

               至福の海に溺れる前、そんな小さな灯でさえも妬ましく思った。